溶接したら必ず歪みが発生するのは切っても切れない関係で非常に悩ましい問題です。
もちろん丸パイプに於ても溶接すると曲がります。
そんな溶接によって曲がった丸パイプの歪み直しの方法と注意点をお伝えしますので参考にしてみて下さい。
目次
1.丸パイプの曲がりはわかりやすい
プレートは組み合わせによって溶接したとき複雑(捻れなど)な曲がりが発生します。
一方、丸パイプは配管や手すりなどに使用頻度が高く複雑な構造物としてはあまり使われにくい特徴があります。
なので、
溶接による歪みについてはどう曲がるかがプレートと比べて読みやすし分かりやすく対策もしやすいです。
2.ハンマーによる歪み直しはできない
基本ハンマーで叩いて直せない
プレートの場合はハンマーで直すこともできましたが、パイプになると叩いて直すことはほぼ不可能です。
理由としてはパイプの中は空洞でハンマーで叩くと間違いなく潰れるため。
厚板パイプだったとしてもハンマーで叩いて直す行為はご法度です。
ハンマーで叩いて直せる例外アリ
しかし例外があって一部のパイプでは叩いて直すことも可能です。
こんなパイプは叩いて直せます。
・エルボが溶接されているもの
ただし、ここでいう『直す』はパイプの直線歪みではなく図面寸法に合わせる直しになります。
叩いて直せる例
・製品センターからパイプ高さがズレている場合
角度曲げしている部分やエルボ部はストレート部より曲がっている分強度があるので多少は叩いて直すことは可能です。
直径の大きいサイズは流石に無理ですのでどんなサイズでもということではございません。
ハンマーで直すときは鉄のハンマーよりゴムハンマーを使用することでキズを抑えることができます。
3.丸パイプは定番のガスで炙って歪み直し
ガスで炙って歪みを直すのは簡単
プレートの歪み直しの定番ですがパイプの歪み直しでもガスを使用します。
前述しましたがプレートに比べてパイプはどこを炙れば良いのかスグにわかるので初心者でも直すことは容易だと思っています。
ガスで炙って直す方法
曲がっている背中側を点焼きや頂点に向かって半分炙れば直すことができます。
炙る場所さえわかれば容易だと思いませんか?
炙り量について
プレートの場合は同じところを3回くらいまで炙っても大丈夫ですが、パイプの場合は2回くらいで止めるようにすること。
パイプの場合板厚が薄くすぐ赤くなるので炙りすぎに注意しましょう。
パイプは収縮する
鉄やステンレスは熱を加えると必ず縮む特性があります。
これはパイプでも同じです。
溶接で曲がって真っ直ぐにしようとする場合、曲がっている部分を縮めないと元に戻りません。
組立はプラスだったとしても出来上がった時は寸法がマイナスになる場合があるので要注意です。
ステンレスの場合熱入れればいくらでも縮むよ
溶接量によってですがステンレスはあらじめ縮み代を含めた長さで溶接しましょう。
4.丸パイプの歪み抑制方法
プレートの溶接には拘束材などで固定して歪みを抑制することができますが、パイプも同じ方法でやろうと思えばやれるけど実際はやりません。
パイプ板厚が薄く拘束材をバラすときの方が手間でキズを付ける可能性がありオススメしません。
やるならパイプの両端を固定するくらいでしょう。
真ん中あたりにライナーを敷いて両端を押さえつけて逆歪をとって溶接することで抑制することができます。
5.まとめ
パイプの歪直し方法はハンマーで叩いて出す行為は空洞部があるため潰れやすいので好ましくない。
無難にガスで炙って直すようにしましょう。
もしハンマーで叩くなら寸法出しだけに使用すること。
角度曲げやエルボが付いているところは曲がっているのでそれなりに強度があるので叩くことが可能。
パイプは逆歪をつけて溶接することができれば歪の抑制にはなるので、現合配管ではない限り単品では逆歪方法をやってみてください。
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