溶接光の危険性と遮光ガラスの選び方

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昨今はキャンプブームでキャンプ道具をオリジナルで溶接して製作している人も多くいますよね。

なかには

家庭用溶接機のYouTube動画を上げている人もいて『溶接』というものが身近に感じます。

 

溶接DIYに興味があるけど

・溶接の危険性がわからないので手を出していない

これからDIYで溶接を始めたい

という人に

溶接の中でも溶接光の危険性と遮光ガラスの適正な番号選びについて溶接20年やってきた経験からお伝えします。

 

ここでわかること

 

・溶接光の危険性
・遮光ガラスの番号種類
・遮光ガラスの選ぶポイント

 

遮光ガラスを適正に選び扱うことで安全に作業することができるので参考にしてください。

 

 

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1.溶接光の危険性

DIYで出来るくらい身近になった溶接という職種ですが溶接光にはどんな危険があるのでしょうか。

よく知られているところでは失明や視力が低下するという巷の噂で聞いたことありませんか?

まずは溶接光の危険なところについてお伝えします。

 

溶接光は裸眼で見てはいけない

溶接が放っている光には目に見えている可視光と目に見えていない紫外線と赤外線が放出されています。

溶接光は別名アーク光ともいわれます。

先ほどの巷で噂と表現しましたが噂ではなく本当にこの光は直視しないことです。

 

可視光とは

建築現場で見かけることがありますが、溶接しているとき強い光を放ってまぶしく感じるかと思います。

この強い光を見続けると

・網膜障害

・視力の低下

・目のかすみ

といった光網膜炎の症状が発生します。

症状の期間は数週間から数ヵ月続くともいわれています。

これは太陽を直接見ると前が見にくくなることと同じで溶接でも起きるということ。

光の波長に左右されますが溶接光は強い光ですので直接見ないようにしましょう。

いくら遠くの方で作業やっていても見ないに越したことございません。

 

紫外線とは

夏に日焼けしてしまいますが溶接でも日焼けみたいに赤くなります。

これを溶接焼けといいます。

日焼けと同じなので当然、脱皮もあるんですが溶接焼けは早ければ2日で脱皮が始まります。

それだけ紫外線が強いということです。

 

これが溶接焼けした頬の状態になります。

少し赤くなっているんですがわかりますか?

 

 

紫外線を浴びることで皮膚がんやシミの発生などがありますのでご注意。

人によっては日焼け止めを塗って溶接作業する人もいます。

だからといって半袖で溶接作業はやらないように。

 

この溶接光(紫外線)を見続けてしまうと

・目に異物が入っている様なゴロゴロする

・目が痛くて眠れない

・目が開けられない

などといった症状が発症します。

いわゆる電気性眼炎と呼ばれる自覚症状があります。

 

このような症状は業界用語で

『目を焼く』や『目玉焼き』とかいいます。

紫外線は目に吸収しやすいので要注意です。

私も何度も経験しましたが、ほんまに目を焼くと痛いし異物感はあるし最悪で苦痛でしかない。

また

痛くて眠れない。(大げさではございません)

 

顔全体もヒリヒリするし火照ってるし脚光は浴びてないけど溶接光は浴びているので気をつけましょう。

 

赤外線とは

短時間では障害になりにくいんですが長時間見てしまうと白内障になるかもしれません。

 

何にせよ溶接の光は見ないようにしましょう。

 

2.電気性眼炎の緩和対策

万が一目を焼いてしまって電気性眼炎の症状を感じた場合、時間をかけて治すことになります。

先ほども述べましたが

電気性眼炎の症状は苦痛なので場合によっては病院で診てもらうことも。

今までの経験上、即完治することもなくあくまで緩和対策することしかございません。

 

『主な緩和対策』

・暗い部屋で安静にする
・点眼する
・アイマスクで目を冷やす
・目を酷使するようなことをしない(テレビ、スマホ、PCなど)

 

これらは気分が楽になる程度です。

私は一番目を冷やすのが楽になりました。

 

 

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3.遮光ガラスの番号種類

溶接作業するには遮光ガラスが絶対に必要です。

理由は重複しますが安全のためもう一度お伝えします。

・紫外線や赤外線を浴びないようにするため

・強い光から目を守るため

・溶接を見るため

など。

そんな遮光ガラスには色んな濃度の種類があり番号でわけられています。

この番号は溶接電流に合わせているので適正な遮光ガラスを選びやすいかと思います。

しかし

溶接電流は板厚によって変えるんですが、遮光ガラスもかえるなんて手間だしコストが余計に掛かります。

その場合は、よく使う溶接電流に合わせるようにすれば良いです。

 

遮光ガラスの種類と電流目安表

遮光番号 被覆アーク溶接 ガスシールドアーク溶接 エアーガウジング
4
5 30A以下
6
7 35A〜75A
8
9 75A〜200A 100A以下
10 125A〜225A
11 100A〜300A
12 200A〜400A 225A〜350A
13 300A〜500A
14 400A以上 350A以上
15 500A以上
16

溶接する場合は

一般的な被覆アーク溶接の遮光番号を使いましょう。

家庭用やDIYでやるような溶接電流は200A前後だと思いますので番号は『11』で問題ないでしょう。

 

余談ですが

現在、私が仕事で使っている電流が250A以上ですので表でいうと番号が『12』以上ですが、見にくく感じてきたので番号『11』に落としました。

溶接が明るすぎると感じたら番号を上げて下さい。

逆に暗くて見にくい場合は番号を下げて下さい。

 

素ガラスも合わせる

遮光ガラス+素ガラスを合わせて溶接するようにしましょう。

理由は

・溶接光を素ガラス→遮光ガラスを通すことで光の強さを軽減(私は2枚合わせています)
・溶接特有のスパッタ(火球)がついて溶接する場所が見えなくなりガラスの交換が必要。

遮光ガラスを交換してもいいんですが素ガラスを合わせることで安価な素ガラスを交換するだけでよくなります。

ちなみにスパッタが付きすぎるとこうなります。

さすがに溶接で明るくなるとはいえここまでスパッタが付着すると見えません。

 

溶接面にガラスを装着する場合

素ガラス→遮光ガラス→素ガラスで外側と内側に1枚ずつ素ガラス装着するのが好ましいです。

一応、内側にもスパッタが飛んできますので遮光ガラスをサンドイッチした形となります。

外側の素ガラスを交換するときには内側の素ガラスを外側にすることで新しいガラスと中古ガラスのローテーションが図れます。

 

遮光ガラスの番号の合わせ方

遮光ガラス番号の合わせ方で『9』以上は二つ組み合わせるようにしたほうが望ましいとされています。

例えば

遮光ガラスを『10』で設定したい場合は『5』を2枚重ねる。

または『6+4』で『10』になりますよね。

2枚重ねることで1枚で『10』より目へのダメージを抑えることができるかと思われます。

 

4.遮光ガラスを選ぶポイント

電流に合わせた遮光番号を選ぶんですが、見える色あいも違いがあります。

黄色く見えるガラスから白っぽく見えるガラスまであります。

私はもう慣れてしまっているので黄色っぽく見える方を作業では使用しています。

好みや見えかたで選んでみてね。

 

5.まとめ

溶接光の危険性にまとめてみましたが、くれぐれも溶接の光は『直視しない』『見ない』ようにしましょう。

電気性眼炎になったら目を冷やすことで緩和されますので対策してみてください。

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