普通ボイラー溶接士の実技試験一発合格した条件と鉄則とは?

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溶接の資格には色んな種類があるなかで普通ボイラー溶接士という国家資格がございます。

試験はもちろん学科・実技の両方があります。

学科が合格できても実技試験で不合格になる人が結構多くいらしゃります。

溶接経験者でも落ちる人がいるくらい技術が必要です。

そんな普通ボイラー溶接士の実技試験を一発合格した条件をお伝えしますので参考にしてもらって練習に励んでみてください。

 

 

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1.普通ボイラー溶接士とは

ボイラー、第一種圧力容器の溶接作業の溶接板厚25mm以下で管台、フランジなど取り付ける溶接作業をするのに必要な資格。

ボイラーを製作する際はこの資格が最低でも必要だということです。

鉄工業界では普通ボイラー溶接士は特別ボイラー溶接士を受けるための登竜門的な位置付けだといわれています。

とはいえ

私は普通ボイラー溶接士だけで満足したので特別ボイラー溶接士の試験は受けていません。

 

2.普通ボイラー溶接士の実技試験

まず試験は学科も当然あるんですが、学科が合格しないと実技試験を受けることができません。

学科は学科で勉強しないとこれも合格は難しいものです。

勉強方法はひたすら過去問をやること。

過去問をしっかりやれば学科は合格することが可能です。

 

で、肝心な実技試験はというと

実技試験は二種類の試験を受けていただきます。

 

 

・裏当てアリの立向き溶接(V)

・裏当てアリの下向き溶接(F)

両方とも9mmの裏当てアリ軟鋼です。

 

2つの実技に共通することですがJIS溶接試験と同じ表曲げ裏曲げ試験があります。

 

 

3.普通ボイラー溶接実技試験を一発で合格した条件とは

溶接棒、ギャップ、ルート面を同じ条件で設定します。

 

条件を揃えることのポイントはコレ!!

 

条件を揃えることで万が一溶接姿勢で上向き下向きの試験片(TP)を入れ替えてやっちゃっても大丈夫。

 

溶接する時は電流計を使用しますが誤差の関係で示す値が異なりますので参考値とご理解下さい。

 

溶接条件

私と先輩の2名分の低水素溶接棒の条件です。

先輩
姿勢 積層 電流 溶接棒径 電流 溶接棒径
立向き 1層目 130〜135A φ3.2 120A φ3.2
2層目 130A φ3.2 130A φ4.0
3層目 120A φ4.0 110A φ4.0
下向き 1層目 140A φ3.2 130A φ3.2
2層目 150〜160A φ4.0 150A φ4.0
3層目 150〜160A φ4.0 150A φ4.0
4層目 140A φ4.0 140A φ4.0

この条件を元に普通ボイラー溶接士の実技を二人とも一発合格しました。

個人の運棒方法やスピードによって電流が変わってきますのであくまで参考程度で受け止めてください。

この条件で実技試験が落ちたといわれても責任取れませんがひたすら練習あるのみです。

 

『鉄則』継ぐ場所は曲げ試験から外す

溶接すればわかりますが、立て向き溶接は溶接棒1本で1層目、2層目を最後まで溶接することはリスクをとることになります。

無理に溶接棒1本で危険な橋を渡らなくても余裕を持って溶接できる方が安心できるので必ず継いだ方が良い。

 

継ぐ際のポイントはコレ!!

継ぐ場所が曲げ試験内だと継ぐところに欠陥があれば割れる可能性が高く不合格となりやすい。そのため継ぐ場所は曲げ試験の無い真ん中8mm範囲でやることが鉄則
継ぐことを前提にしておくことで、しっかりと開先内を溶かすことに集中することができます。

 

溶接棒の選定

イルミナイト系の溶接棒が一般受験者の約6割くらいを占めていますが私が使用した溶接棒は低水素系の棒を使用しました。

 

耐曲げ性溶接性が良いため低水素系の棒を選定。

 

低水素溶接棒は曲げには強い特性があり溶接コンクールでも使用するところもあるくらい安定しています。

 

4.普通ボイラー溶接の実技でよくある不安要素

裏当てアリの立向き溶接は下向きと比べると難易度が格段に高く1層目、2層目の溶接で溶け落ちているような感じがするため、溶接を切りながらの断続溶接する方法がいいのかという思いや不安がでてくることと思います。

しかし

低水素溶接棒の断続溶接はオススメしません。

 

なぜなら低水素溶接棒は欠陥が入りやすい

低水素溶接棒で溶接を切りながら断続することは不可能ではないですが熟練技術が必要で上手くやらないと欠陥が残りやすい溶融金属となります。

溶け落ち防止は溶接電流を下げてみることで改善できることと思います。

 

5.溶接の盛り方

基本的に下向きも立向きも狙いは変わりません。

前層溶接の止端部で0.5秒ほど止めるように溶接をすることやリズムよく溶接することで外観がよくなりアンダーカットの防止も図れます。

 

あんまり凸凹した溶接表面だとスラグの巻き込みと溶接の溶け込み不良の可能性が高くなるので、最終溶接前では開先1mm残しでフラットに溶接が入っていることが理想です。

 

6.ボイラー溶接の肝は『曲げ』

溶接士でも実技試験を落ちる人はいるんですが全国平均では50~60%は合格しているので難易度はやさしい方ではないでしょうか。

しかし

練習せずに合格するほど甘くはないので必ず練習してください。

そして、必ず曲げてみてください。

ボイラー溶接試験の肝は曲げです。

曲げが全てです。

 

 

まとめ

普通ボイラー溶接士の実技試験の条件

・曲げ試験する箇所を避けて溶接棒を継ぐこと。『真ん中8mmの範囲でおこなう』

・継ぐことで開先内をしっかり溶かすことや運棒に集中することができる。

・溶接欠陥の防止として前層溶接止端部で0.5秒程度止めながらリズムよく溶接する。

・溶接電流は参考程度で電流計で必ず確認してすることで精度の高い溶接ができます。

・必ず練習したものは曲げてみること。

以上

普通ボイラー溶接の実技試験は外観が多少悪くても曲げ試験が肝ですので如何に中身の溶接を溶け込ますかに集中しましょう。

不安はあるかもしれませんが練習あるのみです。

最後までお付き合いしていただきありがとうございました。

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