JIS溶接試験の余盛り幅と高さの外観基準とは?

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これからJIS溶接試験を受験する人、もしくは受験しようと考えている人に溶接外観の合格基準についてお伝えします。

 

 

1.JIS溶接試験の実技合否ポイント

JIS溶接試験の実技の評価するポイントとして、外観と曲げ試験の2つで合否判断がされます。

 

曲げ試験については、裏曲げ・表曲げの両方をするので気が抜けないものとなっています。

※後半で曲げたときの状況写真を紹介します。

 

2.JIS溶接試験の外観合格基準

一言で外観と言ってもいくつか見るところがあります。

外観=見た目です。

なので

基本は『誰が見ても満足できる外観』だと言うことを肝に銘じてやるようにしましょう。

それでは外観がキレイな溶接ってどんなものか見ていきましょう。

 

 

外観がキレイと判断する溶接

先ほども述べましたが外観って見た目なので、当然、溶接ビードの幅が揃っていることです。

幅が揃っていることでもし余盛りに多少バラツキがあっても、キレイに見えます。

 

余盛り幅合格基準

 

『PL』 余盛り幅(W)
種類 改定前 2019.12改定
軟鋼薄板 13mmまで 12mmまで
軟鋼中板 30mmまで 30mmまで
軟鋼厚板 50mmまで 38mmまで
ステンレス鋼薄板 13mmまで 11mmまで
ステンレス鋼中板 30mmまで 30mmまで
『パイプ』
軟鋼薄肉管 13mmまで 18mmまで
軟鋼中肉管 30mmまで 30mmまで
軟鋼厚肉管 50mmまで 38mmまで
ステンレス鋼薄肉管 13mmまで 11mmまで
ステンレス鋼中肉管 30mmまで 30mmまで

(日本溶接協会資料)

 

※軟鋼厚板と厚肉管の余盛り幅が38mmまでと大幅改定となっていますので、受験する人は要注意です。

 

 

余盛り高さ合格基準
余盛り高さ(H)
改定前 2019.12改定
軟鋼薄板・薄肉管 3mmまで 3mmまで 余盛り高さ(H)を超える許容される長さ10mmまで
3mmまで 3mmまで
軟鋼中板・中肉管 5mmまで 5mmまで
4mmまで 4mmまで
軟鋼厚板・厚肉管 8mmまで 7mmまで
4mmまで 4mmまで
ステンレス鋼薄板・薄肉管 3mmまで 3mmまで
3mmまで 3mmまで
ステンレス鋼中板・中肉管 5mmまで 5mmまで
4mmまで 4mmまで

(日本溶接協会資料)

 

 

余盛り高さはウラナミにも判定基準が設けられているので、闇雲にウラナミを出せれば良いってものでもないので、受験種目によりますがこちらの判定基準を覚えておくことをオススメします。

 

裏当てを貫いた溶接

裏当ては6mmのPLなので、なかなか貫くほどの溶接をする人は見ないけどここにも判定基準があります。

目視で確認できる裏当ての溶融している凹凸長さ=合計20mmまで

 

 

裏当てなしのウラナミ(PL/管)つらら状の垂れ下がりやワイヤなどの突き抜け

溶接ワイヤーなどの突き抜けによる残存数=3本まで

 

赤丸部にワイヤーが出ているのわかりますか?

一応2本なのでギリギリ合格ですが、製品でこれをやることは許されないことですよね。

 

つらら状の垂れ下がり長さ

薄板・薄肉管=9mmまで

中板・厚板・中肉管・厚肉管=12mmまで

 

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3.中身の信用は外観で安心させる事ができる

溶接の中身が見えない分、外観で判断するしかないんですが、外観が溶接欠陥はあったり開先が埋まってなかったりと汚い溶接は、中身の溶接に信用がないように見られますので、できるだけキレイな溶接ができるように練習しましょう。

キレイな外観は中身もちゃんとした溶接がされていると安心できる見方になります。

 

 

4.曲げ試験

裏曲げ

 

表曲げ

 

曲げた試験片はこんなにも曲げることになります。

これだけ曲げるとなると中身の溶接がしっかりしていないとパックリ割れて破断することになります。

そうなると言わずとも不合格となります。

 

5.まとめ

JIS溶接試験は何気にゆるい所はあると思いますが、舐めてかかると曲げ試験で落ちることがあります。

これから受験する人も受験しようと思っている人も溶接外観の判定基準をよく理解して合格できるように練習に励んでくださいね。

受験者の合格を影ながら応援します。

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