JIS溶接試験を受験されるあなたは仮付け場所に不安を抱いていませんか?
今年でこの道20年を迎えましたけど、私も最初は迷った経験があるんですが、先輩の指導が良かったのか一度もJIS溶接試験で落ちたことがありません。
JIS溶接試験は曲げ試験があるため仮付け場所を間違えると合格できない可能性があります。
そんなあなたにJIS溶接試験の仮付け方法と実技試験の注意点を紹介します。
これらを守って是非、合格しましょう。
目次
1.JIS溶接試験とは?
手に職を付けたい方や鉄鋼関係の職業の方などは『JIS溶接試験』を聞いたことがあると思います。
この『JIS溶接試験』の『JIS』ですが・・・
そうです!
『日本工業規格』です。
つまり、『国が定められた技能を有する事を認定しました』という証明であり国家資格になります。
溶接技量はものづくりする構造物などの品質に大きく左右するので、JIS溶接資格は構造物の製作に必要不可欠であり、仕様書などで要求されています。
仕事に就くときはこの資格を持っていると有利となります。
この資格は一度免許を取得すれば、ずーっと使えるものではございません。
3年に1回の実技更新試験で技能を有する証明をする必要があります。
例えば
運転免許も国家資格の一つですが、一度取得したらずーっと使える訳ではないですよね。
3年や5年に一度、あなたは運転しても大丈夫ですよと確認が必要なのと一緒です。
車を運転するときに一番重要なのは『目』ですが、溶接は『技量』になるのでここの確認をして保証する形となります。
2.JIS溶接試験の実技試験の溶接姿勢の種類と記号とは?
『JIS溶接試験』は学科と実技があります。
実技試験でも基本級~高度な技能が必要とされる溶接姿勢まで種類が色々あります。
まずは、JIS溶接試験を受験するときの溶接姿勢の記号から紹介します。
『JIS溶接姿勢の記号』
基本級
・下向き溶接(FLAT)=F
高度な技能が必要な溶接姿勢
・縦向き溶接(VERTICAL)=V
・横向き溶接(HORIZONTAL)=H
・上向き溶接(OVER)=O
これらの溶接姿勢を網羅した究極(オールポジション)が
・パイプ(PIPE)=P
『試験片にウラ当て(バッキング)の記号』
この試験片のウラ側にPL(バッキング)の有無でも記号があります。
ウラ当て(バッキング)あり=A なし=N
こちらの記号は今後のために覚えておきましょう。
と言うのも、試験会場は記号表記なので周りが何を受験するのか気になると思います。
せめてウラ当ての有無の記号くらいは覚えておくとストレスがなくていいですよ。
また、会話のなかでも聞く機会が多い記号です。
さて、ここまでで何か感じませんか?
勘の良い方は溶接姿勢からウラ当てまでで感付いていることでしょう。
そうです。
すべて頭文字から記号が決まっているんですね~。
※溶接姿勢のおさらい
・下向き溶接(FLAT)=F
・縦向き溶接(VERTICAL)=V
・横向き溶接(HORIZONTAL)=H
・上向き溶接(OVER)=O
・パイプ(PIPE)=P
ウラ当て(バッキング)
あり=A なし=N
『溶接方法について』
溶接方法にも種類があります。
・手溶接
・半自動溶接
・TIG溶接
それぞれの溶接毎に資格がありますので是非チャレンジしてみてくださいね。
ちなみに・・・
JIS溶接資格の板厚ですが、薄板は3.2mm、中板9mm、厚板25mmです。
表される記号は薄い順に『1』『2』『3』です。
3.JIS溶接試験のF、V、Hの仮付け場所は?
記号がわかった所で、一般的に溶接試験が多い姿勢のF、V、Hの仮付け場所について述べます。
冒頭でも書いていますが、実技試験は曲げ試験を実施します。
一番良い所は、曲げ試験に影響のない場所に仮付けするしかないと言うことになります。
(当たり前なんですけどね)
『下向き溶接(F)・ウラ当て有りの場合』
表側は端っこの4箇所と裏側は端っこから10mmまでの範囲と中央辺りの6箇所。
裏側の中央はウラ当ての浮き上がり防止のために付けます。
間違っても表側の中央に仮付けしないように!!
ちなみに溶接姿勢『V、H』も同様となります。
『下向き溶接(F)・ウラ当て無しの場合』
ウラ当て無しで薄板のステンレスと軟鋼の場合、仮付けはウラ側からやるんですが端っこ2箇所と中央をします。
注意なのは両端の仮付は10mm以内ですることになっていますので気をつけながら仮付することと、中央はしない人もいると思いますが目違い防止の面で仮付していると安心できます。
9mm以上の場合は中央の仮付はしなくても目違いになることは少ないので薄板のみとします。
こちらも溶接姿勢『V、H』も同様となります。
4.JIS溶接試験のF、V、Hの実技試験の注意点とは?
『溶接姿勢下向きFの注意点』
軟鋼、ステンレスも同じですが、ウラ当てとTPとの隙間がないようにすることです。
隙間があるとそこから割れが伝わり特にステンレスは曲げ試験すると真っ二つになります。
この隙間でステンレスの溶接で不合格となる方続出ですので気を付けましょう。
『溶接姿勢縦向きV、横向きHの注意点』
仮付け後、評価委員のチェック確認を受けるんですが、その時にTP材の右上に黄色でマークを付けてもらいます。
このマークを右上にして溶接しなくてはいけません。
間違って右上にマークがないまま溶接すると不合格となります。
5.実技試験に合格すると免許を取得
TIG溶接の薄板(1)で軟鋼(SS材)下向き
手棒溶接の中板(2)で軟鋼(SS材)下向き ウラ当てなし
半自動溶接の中板(2)で軟鋼(SS材)下向き ウラ当てなし
あれ?実技試験は3年に1回更新ではなかったの?
写真の免許証をご覧いただくと有効期限が登録後1年になっているので、そう思われるかもしれません。
が
実技試験は3年に1回で間違いございません。
『じゃあなんで?』
ってなりますよね。
登録1年後つまり2年目のときはサーベイランスと言って書類申請で済むかたちとなっています。
そのため、書類申請がない場合の有効期限が記入されている状態です。
書類申請をした免許については継続年月日に記入されています。(3枚の写真の1番上)
※ガスによる歪み直しの方法についてはこちらから
6.まとめ
溶接試験の仮付け場所は・・・
ウラ当て有りは端っこと中央にすること。
ウラ当て無しは端っこのみ。
この仮付け場所は下向き(F)縦向き(V)横向き(H)上向き(O)どの溶接姿勢も共通となります。
ウラ当てを受けるときは出来るだけ隙間がないように気を付けて仮付けしましょう。
(特にMA-Fは何気に不合格多いですよ)
それでは受験者の皆さん頑張りましょう。
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